馬淵大使「アトキンソンはイソギンチャク」第38回大和心ひとりがたり

3つのPと2つのM

伊藤貫氏の提唱する「3つのPと2つのM」を図示したもの。
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私たちは現在、自らの頭で物事を考えることが切に求められていますが、国民の8割が実験的生物製剤をインストールしてしまったこの国で、深い思考力を手に入れるにはどうしたら良いのでしょうか。専門家や教育者はあてになりません。

メディアは言うに及ばず、政府も有識者もアテになりません。これからはひとりひとりが世界情勢ウォッチャーとして欺瞞を見抜く時代です。

馬渕睦夫, 『グローバリストの洗脳はなぜ失敗したのか』, 第1刷, 徳間書店, 2024, 35ページ.

そこでヒントとなるのが真に賢い人(賢者)の言葉です。最近、自身のYoutubeチャンネルを開設された国際政治アナリストの伊藤貫氏が以前から提唱されている「3つのPと2つのM」がとても重要だと私は考えています。

OSたん

バランス・オブ・パワーの大賢者です!

伊藤氏のお話は明治以降、時を経るごとに浅薄になっていった日本人の姿と符合し、神仏分離、廃仏毀釈、神道指令などがいかに良くなかったかを教えてくれます。17世紀後半から広まった啓蒙思想も同様の悪さを働いています。

伊藤氏のお話は脆弱化した我々の思考力を立て直すために必要なものを明示してくれます。「3つのPと2つのM」を理解して深い思考力を身につけ、迫り来る「Disease X(疾病X)」の脅威に立ち向かいましょう。

今回のチュートリアル

古典と均衡の賢者である伊藤貫氏の持論「3つのPと2つのM」を習得しよう。

OSたん

余談ですが『歴史に残る外交三賢人』も非常に面白い本でした。

目次
★『ジュエリー・ナイツ・アルカディア』

3つのPと2つのM

ものを考える3つの段階(3つのP)

大賢者である国際政治アナリストの伊藤貫氏は『これは僕の持論なんですけども』とした上で、「ものを考える3つの段階」を次のように述べられています。

ものを考えるには3つの段階がありまして、この3つの段階を区別できない、明確に区別できない人はダメなんですね。非常に浅い議論しかできないんです。

この3つの議論というのは何かというと、一番上の一番抽象的なのが哲学レベルもしくは宗教レベルの知識と思考力で、その次に来るのがパラダイムレベルの思考力。(中略)パラダイムというのは思考パターンですけれども、考え方のパターンですね。どのパラダイムを使Paradigmうかというので最初からアプローチが違ってくる訳です。(中略)

それから3つ目がポリシーレベルの思考力と。ポリシーレベルの議論が一番いわゆる具体的な訳ですよ。(中略)いわゆるプラグマティックなレベルでの議論がポリシーレベルなんですね。

伊藤貫, 室伏謙一, キッシンジャーの栄光と残虐!!! Part①, ChGrandStrategy, 2024, 00:06:27-00:07:49.

色分けしましたが、伊藤氏はものごとを考える際には「Philosophicalなレベル」と「Paradigmレベル」、「Policyレベル」の各レベル(3段階)を明確に区別すべきだとおっしゃっておられます。

そして、各単語の頭文字を取って「3つのP」と呼んでおられます。

人間が生きていくのに大切な2つのもの(2つのM)

次いで2つのMについては以下のように説明されています。

ですから、ものを考えるには3つのPと。Philosophical(フィロソフィカル)なレベルの思考と、それからParadigm(パラダイム)レベルの思考。それから3番目のPolicy(ポリシー)レベルの思考があるわけです。(中略)

人間にとって哲学と宗教っていうのは実は一番大切なものなんですね。なぜ一番大切かって言うと人間が生きていくのに……僕は2つのMと呼んでるんですけれども……2つのMというのは何かというと、Meaning & Missionと。要するに人間には何で自分は生きているんだろうと。自分の生きている意味は何だろうと。(中略)

もう1つは人間ていうのは生まれて、歳をとって、子供を作って、歳をとって死ぬと。そうすると単なる動物と同じと。そうであるならば、自分が生きている間に何らかの意味もしくは意義を追求して実現しようという義務感なり、使命感なり、それから任務というか……やらなければいけないこと、というものが規定できない訳ですね。

ですから2つのMっていうのはMeaning of Lifeと。生きる意味と。人生の意味と。
それからMission of Lifeと。人生のミッション。要するに任務。もしくは使命感ですね。
このMeaning of LifeとそれからMission of Lifeというものを人間に与えてくれるのは実は哲学、もしくは宗教だけなんですね。

伊藤貫, 【伊藤貫の真剣な雑談】第9回「プラトン哲学と国家の独立」, 新日本文化チャンネル桜, 2022, 00:07:58-00:15:10.

哲学と宗教が与えてくれる、人間が生きていくのに大切なものが「Meaning of Life」と「Mission of Life」で、この2つ頭文字を取って伊藤氏は「2つのM」と呼んでおられるのです。

哲学と宗教の重要性

イメージ図を作成しました

伊藤氏のお話をもとにイメージ図を作成しました。魔王軍の象徴であるピラミッド構造は使いたくなかったので、少し分かりにくいかもしれませんがご容赦ください。

伊藤貫氏の提唱する「3つのPと2つのM」を図示したもの。
「3つのPと2つのM」のイメージ図

繰り返しになってしまいますが簡単にこの図を説明すると、中心(一番抽象的で高いレベル)に「哲学と宗教(Philosophy)」があります。これがものごとを考える上で一番重要で、今の日本人に最も欠けているものです。

その「哲学と宗教(Philosophy)」から「生きる意味(Meaning of Life)」と「人生の使命(Mission of Life)」を見出すことができます。この「2つのM」は、現代日本が抱える多くの問題を解決する鍵になっていると私は考えます。

「哲学と宗教(Philosophy)」の次の段階に「パラダイム(Paradigm)」レベルの思考があります。パラダイムをお互いに意識していないと議論が浮ついたり、空回りしてしまいます。図には例として私のパラダイムを記載しました。

そして最後が「ポリシー(Policy)」レベルとなります。この方針で得をするのか損をするのか、好きか嫌いかといった「誰でもできる議論なんです」と伊藤氏は説明されています。

哲学のないアニメは面白くない

私は長年「哲学のないアニメは面白く無い」と知り合いに言ってきました。ですが、その理由をしっかりと論理的に説明することができませんでした。

伊藤氏のお話を聞いて、腑に落ちると言いますか、スーッと長年のモヤモヤが晴れていきました。そうです、哲学のない作品はペラペラのピーラピラなのです。

グッズ制作でも大切な考え方

「3つのPと2つのM」は「ものごとを考える3つの段階」なので、当然グッズ制作にも応用できます。

よく「こういう面白い技術があるので、何か作れませんか?」というお話をいただきます。私は「考えてみます」とは返事するものの、毎回「どうしたものか……」と頭を悩ませてしまます。

優秀なビジネスクリエイターの方でしたら、それでもなんとかしてしまうのでしょう。アニメ(ゲームや漫画)にすら哲学を求めてしまう私には、この「ものごとを考える3つの段階」に則ってグッズを考える必要があったのです。

ポリシーレベルだけで考え、しょうもないグッズをいくつか世に送り出してしまったことを今は反省しています。

失われた哲学を取り戻そう

修士号と博士号

大学院の修士課程を修了すると修士号、博士課程を修了すると博士号という学位が得られますが、博士号は英語でPh.D.と書きます。

Ph.D.とは「Doctor of Philosophy」の略です。「ここでいうPhilosophyは哲学ではなくて、学問や高度な学問、知識全般を指している」というのが一般的な説明ですが、以前、京都大学大学院教授の藤井聡氏が文化放送のラジオ番組『おはよう寺ちゃん』の中で、「全ての学問は哲学の上にある」という旨の発言をされていたと記憶しています。

お金に目が眩んだ専門家が大多数の昨今、「2つのM」を心に刻んだ「Doctor of Philosophy(哲学の専門家)」の台頭が求められているのではないでしょうか。

国民の精神は自ら守るしか無い

先日たまたま見た動画で、長老である宮崎正弘氏が面白いことをおっしゃっていました。

国民の生命と財産を守ることが国防であると。じゃあ、国民の精神は誰が守るのかと。これ憲法にも自衛隊法にも書いてないんですよ。

宮崎正弘, 藤井聡, シビル・ウォー / 自民党は保守政党なのか?, 新日本文化チャンネル桜, 2024, 00:31:20-00:31:37.

国民の精神は国民一人一人が守るしかありません。さぁ、スマートフォンを投げ捨て、悟りの書(賢者の本)を手に取りましょう。

(追記)伊藤貫氏の「2つのM」

伊藤貫氏は「視聴者からの様々な質問に答えました」という動画の中で、自身の「2つのM」について述べられています(01:15:46〜01:22:27)。

ゴールの設定

動画を見ていただくと分かるのですが、伊藤氏は自身の「2つのM」について明確には答えていません。これは、稀代の天才賢者である苫米地英人博士がいつも言われる「コーチング」の「ゴール」と「ドリームキラー」、「want to が have to になってしまう」がまさに関係しているのだと私は考えています。

伊藤貫氏の提唱する「3つのPと2つのM」を図示したもの。

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